スポーツ競技の会場となる体育館や、コンサートが行われるアリーナなど、大面積フロア用の空調システムです。気流による影響を抑え、施設内の利用エリアを中心に効率的な冷暖房を行います。床面からの均一な冷暖房のため、場所や設置物の影響による温度ムラの少ない快適な空間を実現します。
体育館やアリーナなど、広大な施設の冷暖房を行うためには、いくつかの課題があります。
広い空間の全体を空調しようとすれば、莫大なエネルギーを消費してしまいます。省エネのためには、なるべく利用者が活動する床面に近いエリアのみを中心に冷暖房を行うことが大切です。
従来のエアコンのような対流式空調は、気流の吹出し口を中心に空調されるため、位置によって温度のムラが生じます。また、間仕切りのような気流を妨げる設置物の影響を強く受けてしまいます。
バドミントンや卓球などの競技は、対流式空調の気流がプレーに影響を与えてしまいます。
コンサート会場では、吹き出し口付近の座席でドラフト感や雑音が演奏の鑑賞を妨げてしまうことがあります。
以上のような課題を解決する新しい空調システムが、ユカリラのYGS(鋼製床組み対応)タイプです。床からのふく射熱を利用する方式により多くの利点があります。
建物全体を空調する方式(対流式など)と異なり、利用エリア(床面から8m程度)を重点的に冷暖房。無駄なく冷暖房を行い、省エネ・省コストに繋がります。
『ユカリラ』を導入した体育館で実際に冷房運転を行い、サーモグラフィカメラによる撮影を行いました。天井付近が暑くなっているのに比べ、床付近は涼しくなっており、実際に競技を行う場所がしっかりと冷房できていることがわかります。
床面から均一に冷暖房を行うため、施設を避難所として使用する際に間仕切りなどを設置しても影響が少なく、避難者に快適な環境を提供します。
こちらも実際に冷房運転を行い、サーモグラフィカメラによる撮影を行いました。
間仕切りを設置した場合も、床面が均一に冷えているため、場所によらずどこでも涼しくなっていることがわかります。
ユカリラの還流口から吹き出す気流は非常に穏やかで、すぐに拡散されて0.1m/s以下の風速になります。風の影響を受けやすい競技の際にも安心して利用できます。
JIS A 6519(体育館用鋼製床下地構成材)に準拠した試験を実施し、強度などの基準をクリア。
体育館だけでなく剣道場などの施設でも採用可能です。
YGSタイプの空気の流れは、次のようになっています。
空調機の冷温風を根太噴流口から床材裏面に吹き付け、
効率的に床を温めたり冷やしたりするのがポイントです(左下)。
噴流口から床裏面をなでるように空気が噴き出しています(右下)。
納入先現場の状況に応じて、熱源を選ぶことができます。
建物の竣工から長期経過し、床面や床下の大規模改修が必要となった際、空調についても同時に整備を行うことをご相談いただきました。様々な空調の方式についてご検討された結果、体育館に求められる諸条件を満たす「床面ふく射方式」をご採用に至りました。導入後、市民の皆様にも大変好評であり、全国の自治体から視察や問い合わせが多く届いているようです。
様々な観点から、体育館空調に対してYGSタイプが最適と判断されました。
<熱源機>
ビル用マルチエアコン(EHP)16馬力×8台
エアハンドリングユニット ×2台
冷房能力175.2kW/加熱能力149.8kW
風量20,000m3/h 機外静圧400Pa
<熱源機>
ガスヒートポンプエアコン20馬力×8台
エアハンドリングユニット×2台
冷却能力211.0kW/加熱能力145.0kW
風量25,000m3/h 機外静圧400Pa
主にアリーナ床(下地)工事は屋内工事、空調設備は屋外工事となり施工範囲の取り合いが少なく、大半の工程で同時施工が可能です。