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三菱重工サーマルシステムズ

マンモスYUKAに出会う

福山 育美

2013年7月9日。
私は初めて【特別展マンモスYUKA】の会場を訪れました。
展示会場は準備の真っ只中。
現場では税関の方が、到着物1つ1つの内容を確認していました。

特別展マンモスYUKA 展示品が納められた木箱
展示品が納められた木箱
特別展マンモスYUKA 税関のチェック
税関のチェック
 

展示会場は六角形のモチーフが散りばめられています。
デザインを担当された池田英雄氏に伺うと、「雪の結晶をイメージした」とのこと。
また、私が訪れた際は電気が全て点灯していましたが、 開催期間中は展示物にスポットライトが当たり、浮き上がって見えるそうです。
展示会のデザインも必見です。

 
マンモス冷凍設備はこれだ!

弊社は、この展示会のメインである「マンモスYUKA」と「ケサイ」の冷凍設備の設計・製作・施工を担当しました。
貴重価値の高いマンモスを溶かさずに保管することが一番難しいことです。
一般的に冷凍すると、その冷風により商品は乾燥してしまうからです。

展示設備内はマイナス15℃の一定温度に保たれ、乾燥を防ぐため、冷風が当たらぬよう、風の向き・量・風速が計算されており、マンモスの毛は微動だにしません。(是非その様子もご覧ください!)
また、一般的に展示設備内と外の温度差で、窓ガラスは曇りますが、こちらの設備は特別なガラスを使用し、まるで設備内が常温のように曇り一つありません。
下の写真がその冷凍設備です。

設備全体の大きさは幅約5.2m×奥行き3m×高さ3.3mで、正面の窓は幅2.5m×高さ1.2mという大きさ。
(施工を担当した谷垣社員と一緒に中に入らせてもらいました!)
とにかく寒いです。長時間入ったら、鼻毛が凍りそうです!
裸足で入ると、足の汚れが霜になって地面についてしまうので、スリッパを着用しています。

 
マンモスYUKA登場

マンモスYUKAとケサイはロシアから船に乗り、冷凍コンテナで会場に到着しました。
最初はケサイの搬入が行われました。
大きな木箱の中に入れられたケサイは、重く、人力では箱から出せないという事態が発生。
急遽フォークリフトで運ぶことになるなどのハプニングはありましたが、無事に冷凍設備内に搬入されました。
写真左は、ケサイを撮影する報道陣。右はリフトと人の手で支えられるケサイです。

ケサイを撮影する報道陣
リフトと人の手で支えられるケサイ
 

メインのマンモスYUKAは、ケサイに比べて小さな木箱でやってきました。
下の写真は、YUKAの箱が開梱され、税関の方が中身の確認をしているところです。
YUKAは鼻、手足、毛がほぼ完全な状態で残っており、目の位置も容易に分かり、この生物が3万8千年前に生きて歩いていたのかと思うと、何か感慨深いものがあります。

マンモスYUKA
マンモスYUKA
 
犬塚先生に聞く

YUKAとケサイが搬入された後、この展示会の総監修をされた古脊椎動物研究所代表 犬塚則久先生にお話を伺うことが出来ました。

Q. なぜ展示会の開催は日本が世界初だったのでしょうか?
A. マンモスの研究を行うロシアの科学アカデミーの研究費用、またマンモスを発見するハンターへの対価として、日本が大きなスポンサーだからです。
マンモスハンターは、マンモスの牙などを見つけ、判子などお金になるものを作製して生活しています。
マンモスの研究の問題点は、発見から研究者に届くまでにタイムラグがあること。
(今回、YUKAが発見され、解剖できると期待したが、見に行ったときには内臓は抜け落ちていた。)
マンモスハンターがマンモスの全身を発見したとき、お金になると分かれば、すぐに研究者に話しが伝わる。
この展示会は、マンモス研究発展のためにとても重要です。
Q. この展示会で訴えたいことはなんですか?
A. マンモスの誤解を解く
マンモスは大きいゾウと思われがちだが、本当は色々な種類がおり、大きいゾウ=マンモスというわけではありません。
例えば、ケマンモスはアジアゾウと同じ大きさです。
少しでもそれを知って欲しいので、会場入口にはゾウについての解説や、ゾウとマンモスの小さなレプリカを並べています。
〇ケマンモス、ケサイの名前を定着させたい
〇未来の研究者を生み出すきっかけに
今回の展示会では、マンモスの毛や牙に触るコーナーや、マンモスやケサイ以外にも絶滅した生物の骨標本が多数展示されています。
子供時代にそれらに触れる機会は、次世代の研究者を生み出すきっかけとなると期待しています。

是非たくさんの方々に御来場頂き、マンモスやケサイなど古代の生物に触れていただきたい。

最後に犬塚先生より「三菱重工冷熱さんには、この展示会をどんどん宣伝し、今後も是非マンモスの冷凍保存に関わって欲しい」というお言葉を頂きました。

編集後記

読売新聞社様のご好意により、マンモスYUKAとケサイの搬入に立ち合わせて頂く事が出来ました。
この場を借りてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。

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